| 免疫について アレルギ− (1) |
IgE抗体と結合した特殊な細胞が、毒性のある物質をまき散らす
アレルギー反応の多くには、IgEという種類(クラス)の抗体が関係していると言われます。そのメカニズムを、もっとも一般的なスギ花粉症を例にとって眺めてみましょう。
ある春の日、窓を開け放ってしばらく深呼吸したとします。多ければ数百個の杉の花粉を吸い込むでしょう。花粉は粘膜に捕らえられ、水分を吸ってふくらみ、内部に含まれた微量のタンパク質が溶け出ます。
粘膜にいるマクロファージは、花粉から溶け出したタンパク質を食べて消化します。消化されたタンパク質の断片は、すでに説明したようなやり方でマクロファージの表面にあるHLAクラス2抗原に付着し、「自己」を「非自己」化します。ヘルパーT細胞が、「自己」の「非自己」化をレセプターで認識し、分裂・増殖して免疫反応が始まります。じつはここで、抗原提示したマクロファージは、いっぽうで「サプレッサー誘導細胞」と呼ばれる細胞を刺激し、この誘導細胞を介してサプレッサーT細胞をも活性化しようとします。
ヘルパーT細胞はB細胞に抗体合成の指令を出しますが、サプレッサーT細胞はそれを抑制します。ところが遺伝的な要因で後者の抑制がかからない人では、アレルギーを起こす抗体の生産が始まってしまいます。
アレルギーの原因となるような物質を「アレルゲン」と呼びます。ここでは広い意味でのアレルゲンはスギ花粉、狭い意味ではスギ花粉の一部であるタンパク質分子です。スギ花粉のアレルゲンに反応する抗体のアンテナを表面に揚げるB細胞は、ヘルパーT細胞からのサイトカインの指令を受けて、抗体を合成するプラズマ細胞に変化します。そして、アレルギーを起こすIgE抗体を分泌し始めるのです。
同じ空気を吸っていても、IgEを作るのは一部の人です。作られたとしても、血清中の濃度は一立方センチメートル中に100万分の1グラム程度しかありません。通常の抗体であるIgGは100分の1以上もあるのですから、その1万分の1と著しく微量です。
IgEが他のクラスの抗体と違っているのは、H連鎖末端部、つまり抗体の構造をYの字にたとえると真ん中の長い脚の末端部で、体内のいたるところにある「肥満細胞」という細胞や、血液中の「好塩基球」と呼ばれる特殊な白血球の表面に強く結合することです。肥満細胞や好塩基球の内部には、ヒスタミンやセトロニンなどという毒性のある物質を含む顆粒がいっぱいに詰め込まれています。IgEと肥満細胞や好塩基球との結合。これがアレルギー反応の準備の整った状態です。 |
| アレルギ− (2) |
ふたたび春の日。開け放った窓から胸いっぱいの空気を吸い込むと、鼻がむずがゆくなり、胸が苦しくなります。とめどなく涙が流れ出ます。スギ花粉のアレルゲンが、気道や粘膜の肥満細胞に結合したIgE抗体と反応したのです。この反応が起こると、肥満細胞内の顆粒が放出され、ヒスタミンなどが周りにまき散らされます。ヒスタミンが気道などの筋肉(平滑筋)に作用すると、平滑筋は急激な収縮を起こします。血管に働けば血管が拡張し、血液成分がもれ出ます。じんましんのような膨疹はこうして起こります。
これらと並行して、肥満細胞内では新たにロイコトリエンとかプロスタグランディンなどの物質が合成されて分泌されます。肥満細胞から放出される物質をまとめて、「メディエーター」と呼びますが、ヒスタミン以外のメディエーターも、平滑筋に働けば同じようにそれを収縮させます
喘息の発作で、吸った息を吐くことができないのは気管支の平滑筋が強く収縮するためです。そのほか、毛細血管の拡張による膨疹や、涙・鼻汁など外分泌の亢進を始めとするさまざまな反応は、すべてこのメディエーターの働きで起こります。アレルゲンが食物で、消化管にメディエーターが働くと腹痛や下痢が起こってくるというわけです。
このようなIgE抗体の関係するアレルギー反応は1型アレルギーと呼ばれます。ところで、アレルギーを引き起こすIgE抗体は、体のなかでどのような働きをしているのでしょうか。答えは、寄生虫の排除です。寄生虫が腸を通って体内へ侵入するのをIgAが排除できなかった場合、IgEに刺激された肥満細胞がメディエーターを放出して排除します。またこれがきっかけとなり、寄生虫に対する他の免疫細胞の働きが高まります。
現在でも世界の人口の3分の1以上に寄生虫の感染が見られることを考えると、アレルギーという不都合な副産物はあるものの、IgEは生物進化の過程で生存のために必要不可欠な抗体だったと言うこともできます。 |
| 腫瘍マーカーの説明 |
卵巣ガン
CA125(CA602)、CA546、STN(CA72-4)、SLX、TPAまたはIAP、GAT
CA125が中心となるが、ムチン性嚢胞腺腫(卵巣腫瘍の中で良性腫瘍の一つで予後が良いとされるもの)での陽性率が低い。CA546はムチン性嚢胞腺腫での陽性率は高く、しかも早期での陽性率も高いといわれている。その他STNやSLX、または広域性マーカーのTPAやIAPなどの組み合わせが有用と考えられる。
CA125
卵巣ガン、膵ガンで陽性率が高い。また子宮腺筋腫、子宮内膜症で高率に上昇するので、これら疾患のマーカーとしての価値も高い。
悪性腫瘍の陽性率
卵巣ガン(79.4%)膵ガン(56.7%)
良性疾患の陽性率
子宮腺筋腫(96.4%)子宮内膜症(78.7%)
CA546
CA546の特徴は粘液性嚢胞腺ガンで極めて高い陽性率を示すことがある。また良性疾患における偽陽性率がCA125やCA19-9に比べてはるかに低く、ガン特異性が高いと言える。また、健常女性における年代別では若年者でやや高値傾向が認められるが、問題となる程の差はなく、さらに月経周期にも大きな変動は認められない。
CA546は病気の進行とともに陽性率が上昇し、高値を示す症例が増加することが明らかにされている。しかも。期での陽性率も高いため、早期の粘液性嚢胞線ガンでの補助的診断にも有用と考えられる。
悪性腫瘍の陽性率
卵巣ガン(50.4%)粘液性嚢胞腺ガン(64.4%)
STN
STNは通称CA72-4とも呼ばれている。STNは正常細胞には陰性で偽陽性も少ない。
高値 卵巣ガン…胃ガン…結腸・直腸ガン…膵ガン
SLX
SLXは特に卵巣ガン、膵ガン、肺腺ガンで陽性率が高い。肺ガンの診断にはSLX、SCC(扁平上皮ガンマーカー)、NSE(小細胞ガンマーカー)のコンビネーションアッセイが有効とされている。非ガン良性疾患での偽陽性率は低い。
悪性腫瘍の陽性率
卵巣ガン(57.1%)膵ガン(53.2%)肺腺ガン(44.9%)
肺ガン(腺ガン以外30.9%) 胆道ガン(43.1%)
TPA
各種ガンで高率に陽性となる非特異性腫瘍マーカーの一つである。また各種良性疾患での陽性率も高い。TPAは第一選択の腫瘍マーカーとはなり得ないが、他の比較的異性の高い腫瘍マーカーとの併用は有効である。
〈コンビネーションアッセイにより陽性率の上昇する例〉
CEA/TPA : 胃ガン、原発性肝ガン、膵ガン、大腸ガン、肺ガン、乳ガン
上昇率の高い悪性腫瘍
食道ガン…胃ガン…結腸・直腸ガン…肝細胞ガン…胆嚢・胆管ガン…膵がん…肺ガン…卵巣ガン…前立腺ガン…膀胱ガン
一過性に上昇する良性疾患
急性ウイルス性肝炎…アルコール性肝障害…慢性肝炎…肝硬変症…胆道感染膵炎…肺炎…インフルエ ンザ…肺膿瘍…尿路感染症…腎不全…糖尿病
IAP
非特異的な腫瘍マーカーで、良性疾患での陽性率も高い。
CEAと組み合わせて、特に消化器ガンの場合に用いられることが多い
陽性率の高い悪性腫瘍
胆嚢ガン…神経芽腫…白血病…食道ガン…膵ガン…卵巣ガン…腎ガン…肺ガン…胆管ガン…肝ガン
(肝ガンで肝硬変を伴った時は低値を示す)
中等度の陽性率を示す悪性腫瘍
口腔ガン…尿路性器ガン…大腸ガン…甲状腺ガン…悪性リンパ腫…胃ガン…膀胱ガン…睾丸ガン…前立腺ガン
良性疾患
感染症…膠原病…急性甲状腺炎
GAT
卵巣ガンの新しい腫瘍マーカーである。卵巣ガンと内膜症性嚢胞との鑑別に有用である。卵巣ガンの治療効果の判定、再発などに有用で あることが報告されている。
悪性腫瘍の陽性率 卵巣ガン(63.1%)
良性疾患の陽性率 内膜症性嚢胞(16.9%)
CA602
CA602の特徴は発見が難しいと言われている漿液性嚢胞腺ガンに高い陽性率を示すことである。また健常女性における年代別では、測定に支障はきたさないものの30〜40代に若干のピークが認められる
月経周期においては、月経期から卵胞前期にかけて高値をとる傾向があり、また妊娠初期の5週から11週に高値をとる傾向がある。CA602の最大の特徴は測定感度が4U/mlであり低濃度において安定したデータが得られるということである。従って、卵巣ガンの早期発見や治療効果の判定、転移そしてマーカーの微増をもって判定する再発の早期発見には、より適していると考えられる。
悪性腫瘍の陽性率 卵巣ガン(76.0%)子宮体ガン(33.5%)
良性疾患の陽性率 子宮内膜症(56.7%) |
| 前立腺肥大症 |
前立腺肥大症とは?
「前立腺」は精液の一部を産生する男性特有の臓器です。膀胱のすぐ下にあり、中心部を尿道が通っています。大きさは栗の実ほどで重さは成人男性で約20gです。
前立腺の肥大は、50歳ごろから男性なら誰でも多少は起こります。肥大に加え、「尿の出が悪い」「夜中にトイレに起きる」などの症状を自覚し、不便を感じるようになると「前立腺肥大症」と診断されます。
なぜ前立腺が大きくなるのか、よくわかっていませんが、加齢による男性ホルモンの働きの異常なのが指摘されています。
現在日本では、前立腺肥大症の患者さんの数が急増しています。以前は欧米諸国に多い病気だったことから、日本人の食生活が、動物性タンパク質や脂肪分の多い欧米型の食生活に変わったことも関連があるといわれています。60歳以上の男性に多い前立腺肥大症は社会の高齢化に伴い、ますます増加すると考えられています。
症状・・・前立腺の肥大が進むと次の段階を経て、排尿障害が悪化していきます。
●刺激期・・・夜間に何度もトイレに行く「夜間排尿」になります。これは、前立腺が肥大し、尿道を締め付ける筋肉の緊張が高まって、膀胱の出口が刺激を受けやすくなるためです。また、肥大した前立腺が尿道を圧迫して尿道が狭くなるので、排尿の勢いが低下し、尿が出始めるまでに時間がかかったり、なかなか排尿が終わらなくなったりするようになります。
●残尿期・・・膀胱から尿が完全に出きらなくなるので、不快な残尿感を覚えます。
●尿閉期・・・前立腺がさらに肥大すると尿道がふさがって排尿ができなくなる「尿閉」が起こることもあります。また、膀胱が尿でいっぱいになり、尿が漏れ出す「溢流性(いつりゅうせい)尿失禁」になる場合もあります。尿閉状態が続くと「尿毒症」や「腎不全」を引き起こして命にかかわる事態になることもあります。
| 国際前立腺症状スコア |
| 最近1ヶ月の排尿における7つの自覚症状を点数化し、客観的に評価するテスト。医療機関でも行われるが、自分でもできる内容なので受診を迷ってる場合はチェックしてみるとよい。 |
7のみ、回数そのものを点数とし
1回は1点、2回は2点・・となる。
5回以上は5点とする |
点数基準 |
| いつもある |
5点 |
| 2回に1回以上 |
4点 |
| 2回に1回 |
3点 |
| 3〜4回に1回 |
2点 |
| 5回に1回以下 |
1点 |
| なし |
0点 |
| チェック項目 |
点数 |
| 1、残尿感がある |
点 |
| 2、2時間以内に排尿したくなる |
点 |
| 3、尿が途切れる |
点 |
| 4、排尿を我慢できない |
点 |
| 5、尿の勢いが弱い |
点 |
| 6、排尿時にいきむ |
点 |
| 7、夜中に排尿で起きる |
点 |
| 合計点数 |
点 |
| 点数 |
診断 |
| 7点以下 |
軽度 |
| 8〜19点 |
中等度 |
| 20点以上 |
重症 |
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